ロボット研究の本質は、人間の本質を知ること ~オムロン文化フォーラムでロボット研究の世界的な第一人者、石黒教授が講演~

-アイデンティティとは何か?
-人の存在とは何か?
-美しさとは何か?
-心とは何か?
-身体とは何か?

人間そっくりのロボットをつくっていると、人間にとって非常に重要な問題について、
改めて考えさせられる。

人とロボットが共生する未来社会をつくろうと、様々なロボットを研究開発してきた大阪大学基礎工学研究科教授(特別教授)・ATR石黒浩特別研究所客員所長を講師に招き、「ロボットと未来社会」というテーマで、2月28日に開催されたオムロン文化フォーラム(*)において講演いただきました。

石黒教授は、自身の研究を、人間を知るためのロボット研究と定義しています。

ロボットらしいロボットから研究を始め、どんどん人間に近づけ、人間とは何かということを考えながらロボットを改良する。

少し人間らしいものが出来るとそれを基に、人間を科学的に理解する材料にする。
人間が少し分かるとそれを基にロボットを改良し、それをぐるぐる繰り返し研究することで人間とロボットの関係を近づけていると話されます。

ロボットが人の意図に寄り添い、パートナーになる未来へ

そして、ロボットと人の関係性は次なるステップ、ロボットが人の意図に寄り添い、パートナーになる未来へ。

ロボットの中に意図や欲求があれば、相手の意図や欲求を理解できるようになるとの考えから、現在、ロボット自身も意図や欲求を持てるようになる研究に取り組まれていると話されています。

この研究が進んでいけば、人と関わる人間型ロボットは、駅、交通機関、デパート・小売店だけでなく、病院待合室や高齢者介護、学習・言語教育でも人を支援し、人とロボットが共生する社会が実現します。

「技術開発を進めることで、人間の能力が拡張し、技術によって人間の理解が進む。
技術を手に入れて生活を豊かにし、最終的に人とは何かということを知りたいがために生きている。だから技術開発はこれからも止まらない。」

豊かな未来と人間への飽くなき探求心で技術開発を続ける石黒教授、よりよい社会、人が輝く豊かな社会に向けて日々技術を磨くオムロン、それぞれ違う立場でも描く未来は同じであり、その鍵を握るのが、ロボットと人の関係の進化であると考えさせられるセミナーになりました。

*オムロン文化フォーラムは、社会貢献活動の一環として、NHK文化センター京都教室様とのタイアップにより1989年から一般の方を対象に2ケ月に1回開催される、わたしたちの"明日"を考える文化フォーラムです。

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