多様な人々、自分とは違う誰かを思いやり、理解して行動する ~「ユニバーサルマナー」について知るセミナーをオムロン京都事業所にて開催~

高齢化先進国の日本を、ユニバーサルデザイン先進国へ

国連の「障害者の権利に関する条約」締結に向け、日本では、全ての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を目指した「障害者差別解消法」が2016年4月1日に制定されました。
この法律では、障がいのある人に対して、正当な理由なく障がいを理由としてサービスの提供を拒否することや、サービスの提供にあたって場所や時間帯などを制限すること、障がいのない人にはつけない条件をつけることなどが禁止されています。

1974年から、障がい者や高齢者が社会生活をする上で支障となるバリア(障壁)を取り除く「バリアフリー」が広く浸透しはじめ、段差のない出入り口やエレベーターの設置が進んできた日本。
1990年頃からは、障がいの有無、老若男女といった差異、能力を問わず、誰もが使いやすく利用できる施設・製品・情報の設計の考え方「ユニバーサルデザイン」へと広がりを見せ、まだまだ課題はあるものの、ハード面(環境・設備)の整備は進んできています。
高齢化先進国となる日本は、今後、法律の整備はもちろん、ソフト面(配慮・体制)の準備も整え、あらゆる人にとって暮らしやすく、働きやすい、ユニバーサルデザイン先進国になることが、世界のどの国よりも求められています。

一人ひとりに求められる基本姿勢と心得

1972年に大分県別府市にオムロン太陽電機株式会社を設立して以来、オムロンでは、障がい者の就労機会の創出と活躍機会の拡大に積極的に取り組みを続けています。その一環として、高齢者や障がい者をはじめとし、誰もが働きやすい職場環境づくりを推進するために「ユニバーサルマナー」についてのセミナーを開催しました。

(株)ミライロ 日本ユニバーサルマナー協会から、ご自身も障がいを持ちながら、車椅子で障がい者や高齢者への優しいおもてなし指導や、ユニバーサルデザインの普及啓発講義をされている、岸田ひろ美氏を講師に迎え、サポートする側とされる側の二つの目線からの接し方についてお話いただきました。

岸田氏は、8年前に病気により下半身麻痺となり、「歩けないなら死んだ方がましだ」と思ったこともあったそうです。それでも車椅子の自分にしか出来ない事が有るのではないか?と考え、障がいを価値・プラス・強み、そしてバリューに変え、ユニバーサルマナーを教える講師として、現在活躍されています。

セミナーでは、ハード面(環境・設備)はすぐに変えられなくとも、ハートのソフト面(配慮・体制)は今からでも変えられる!という考えの下、大多数の人を中心に考えられた社会やモノの中の不便さとそこから感じる不安を学び、コミュニケーション手法について理解を深めました。

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資料提供:株式会社ミライロ

例えば、左利きの人が、ハサミなどの道具や駅の改札や自動販売機の投入口、食事の際に右利きの人と腕がぶつかることに不便を感じるように、肢体に不自由な人は、ドアを押したり引いたりすることや、高い位置のモノが見えない、取れないことにわずらわしさを感じています。聴覚言語障がい者は、チャイムの音や館内放送が聞こえないこと、知的障がい者は、難しい言葉や複雑な説明が理解できず自分のことが上手く話せないために、困っていても助けを求めづらいことに不安を感じています。

ケーススタディでは、困ったようにウロウロしている人には、次に何をしたいのか具体的に尋ねることや、興奮して走り回っている人には、優しい口調で話し、相手を否定しないようにするなど、相手に合わせたコミュニケーション手法について理解を深めました。

また、岸田氏は、「多様性と向き合うためには100%を目指さないという姿勢が大切」と言います。
"○○しなければならない"と思って相手に接したら、それは既に過剰な配慮になのかもしれません。何をサポートして欲しいのかを把握し、そして、押し付けでなく、相手に選択肢を与えてあげることが重要です。

セミナーに参加した社員からは、「自分の"良かれ"と思うサポートではなく、目の前にいる人の目線に立って「何かお手伝いできることはありますか?」という気持ちと声掛けが大事であることが分かった。」など、押し付けではない、適切な理解と行動の重要性についての感想が述べられました。

「ユニバーサルマナー」には、特別な知識や、高度な技術は不要。
適切な知識と、適切なサポートで高齢者や障がい者に歩み寄ることができれば、多様性を価値に変えることができます。オムロンは、これからもダイバーシティ(多様性)を推進し、自分とは違う誰かのことを思いやり、多様な人財が個性や能力を発揮し、イキイキと活躍できる職場づくりを目指します。