社会、顧客、社員、みんなを幸せにする指標 ~ROIC経営で価値を創造する~

自分達の仕事がどれだけの価値を顧客に生んでいるのか?
オムロンは、その重要な指標として、ROIC(*)を取り入れ、顧客起点で現場が自律的に考えて行動するROIC経営2.0を全社で推進しています。

安易な設備・研究開発費や在庫の削減、とりあえずの経費削減や一時点での売上判断をすることはせず、いわゆるムリ、ムダ、ムラなどの、滞留している経営資源を見直し、限りある人・時間をどう活かせるかが重要なポイント。

ROIC経営

生活者の目線で課題を解決し、新たな価値を提供する

例えば、交通信号や渋滞情報提供などの交通管制システムといった社会インフラを支える様々な機器やシステムの開発、導入、保守・サポートする事業領域。

従来のプロジェクトにおいては、上期にお客様に事業計画をご提案していました。そして、下期にお客様が発注(入札)し、オムロンが受注することができた場合、年度末まで4か月程度の納期で完了していました。
お客様にとっては、下期に当年度のプロジェクトを管理すると同時に次年度の事業計画を検討しなければならないという大きな負担感がありました。
オムロンは、短い納期で設計・生産・検査・工事・調整・テストを実施していたことから、上期の稼働率は低く、下期に偏重した負荷に対処する必要がありました。

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そこでオムロンは、当年度の上期に事業計画をご提案するスタイルから、前年度からご提案するスタイルに変更し、お客さまが事業計画をご検討されるに十分な時間を確保していただくことに力を注ぎました。
結果、前年度中にお客様の事業計画が具体化し、当年度の上期に発注(入札)されることとなったため、お客様の負担感が軽減されました。
また、オムロンにとっても下期に偏重していた負荷を平準化することができ、お客様にとって新たな価値をご提案する時間を創出することにつながりました。

お客様にとっての新たな価値をご提供するためには、歩行者やドライバーの目線で交通管制システムの課題を見出し、その解決策をご提案することから始まるとオムロンは考えています。例えば、システムエンジニアや保守サービスエンジニアは、実際に自分で車を走らせ、自分の目でその地域の交通実態を調査・把握しています。

これまで渋滞が発生してなかった交差点で渋滞が発生するようになったのはなぜか?交差点を制御している方法に問題はないのか?問題を解決するためには、どうすればよいのか?日々の地道な積み重ねがあってこそ、価値ある新たな提案を可能にすると、オムロンは考えています。

現場における社員が「価値」の創出を理解

現場における社員が「価値」の創出を理解する

ムリ、ムダ、ムラを減らすことによる利点は、まずお客様が享受すべきだと考えます。
そのお客様の一番近くにいる現場社員が、価値を数値で理解し、滞留している資源を再活用することを試行錯誤します。この試行錯誤が生んだ取り組みは、品質向上やお客様ニーズの充足、新提案など、直接的な価値へとつながっていきます。
また、間接部門においても前後の工程にある関連部門=社内顧客として、そこへいかに高い価値を提供するか・自部門のリソースを有効活用するためにどんな工夫が必要か、といった考え方の浸透活動を始めています。
このように、ROICを理解した社員ひとり一人が、具体的な目標に向って活動することは、毎日の業務の中で、企業理念の実践が繰り返されているとも言えるのです。

ROIC

お客様の利点を見出しながら、社員や取引先に無理を強いず、株主の期待にも応えていく。
経営層から現場まで、ROICを共有し、よりよい社会の実現を目指すことが、ステークホルダーの皆さまそれぞれに幸せをもたらすと信じ、私たちは、この経営指標を取り入れています。

(*ROICとは、Return On Invested Capital(対投下資本利益率)の略称で、企業が日々の事業活動のために投下した資本(Invested Capital)に対して、どれだけの利益(Return)を出せたかを測る指標。)

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