笑顔で毎日家族が家に帰る、安全な機械をつくる

労働災害のない世界を

「人々の生活を豊かにする製品を生み出す世界中の製造現場で、生産性を追求するだけでなく、安全性も両立させる。」

2006年6月、この想いを結実させるために二つの会社が手を結び、「OMRON Scientific Technologies社(現OSTI)」が誕生した。

国際労働機関(ILO)の発表によると、負傷者が出る労働災害は世界全体で1日当たり86万件発生し、毎年230万人が職場における事故や職業性疾病によって命を落とし、この間接的・直接的コストは2.8兆ドルに上ると推計されている(*1)。
100年前に死亡者数が年間1万人を数えたドイツで、昨年初めて500人を下回った事実があるものの、その数は世界的に依然多い。

センシング&コントロール技術をベースに幅広い安全対策機器(セーフティ機器)を有し、安全設計コンサルティング力を強みに、日本・アジアの自動車業界および半導体業界でトップシェアを誇っていたオムロン。
一方、光応用技術の基本パテントを有し、堅牢型・長距離型センサいったセーフティ機器を品揃え、北米では自動車、半導体、電子機器から、食品、薬品、化粧品といった業界にも高いブランドとエンジニアリング力を誇っていた北米のセーフティ機器でトップメーカー「Scientific Technologies社」。

この2社の想いと強みが一つになり、ものづくりの生産性と安全性を両立させる悩みを吹き飛ばす製品が生み出されている。

製品はグローバル、思想はローカル

それぞれの国にとってベストチョイスの機器が搭載された機械が、正しく使われる限り事故は起こらない。
しかし、今は人も物もグローバルに移動する時代。
労働の担い手は他の様々な国から次々にやってくるし、機械も成長著しい国々へと輸出されていく。

その上、セーフティ機器は、製造現場の危険なエリアに作業者が侵入した時に、作業者の身の安全を確保するための機器であり、通常の機器より信頼性が高い設計が施されている。
常に安全に作動される仕組みが組み込まれている機器を使いこなすにはスキルが必要になる。その上、国毎に安全規格や使い勝手が異なる。

どこの国のものづくりの現場でも起こる悩みは、自分の国で一番使いやすいと思っていた機器は、必ずしも、他の国で使いやすいとは限らないということ。
その中で起こることは、機械で使われているたくさんの種類分の在庫を持つこと、機器に合わせて機械を改造すること、そして、機器に人を合わせて教育すること。どれもコストがかかることは言うまでもなく、人が機器に制約される、機器に人が合わせなければならない、人に優しくないものばかりだ。

これでは、誰もが生産性と安全性を両立させることをあきらめたくなる。

必要なのは、ローカルのニーズを満たしながら、グローバルどこでも共通して使える機器である。この相反する課題の先に、きっと答えがある。

日米欧のセーフティプロジェクトチーム

日米欧のセーフティプロジェクトチームはそう信じ、ローカルそれぞれが、導入コストに対する考え方、機器を設置する際の悩み、機器への不満を収集し、それぞれのローカルの違いを理解し、共通仕様の新型機器、セーフティライトカーテン(*2)を創り上げた。

それは、堅牢でコンパクトなボディ、水や埃など機器にとってシビアな環境にも強く、振動に影響を受けない機構と、誰でも使いやすい高性能を備える。

北米製は大きくて頑丈、欧州製は機能的で合理的、日本製は小さくと高性能といった、それぞれの仕様の単なるいいとこ取りではない、それぞれの強みを融合した、タフさと高機能、そして信頼性を兼ね備えることができた。

このセーフティライトカーテンは、世界中の生産現場で予想を上回るスピードで導入が進んでいる。

しかし、わたしたちには、まだまだできることがある。

安全は、現場の診断、設計、施工、メンテナンスの一連のサイクルが正しく回り、正しく機器が使われることで、確保される。この全ての機能を保有している数少ない企業であるわたしたち。

大切な人の笑顔が、今日も沢山の家に帰ってきますように。 オートメーションにはもっとできることがある。

(*1)http://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_304156/lang--ja/index.htm
(*2)セーフティソリューション

関連リンク