空間投影、それは未来への道しるべ

立体情報が空間に浮かび上がる

たとえば、案内表示(サイン)にオムロンが開発した空間投影を採用すれば、これまで平面でしか表現できなかった矢印が、空間のなかに立体で表示できるようになります。"後ろにある階段を上る"など、平面の矢印ではどうしも分かりづらい表示を、誰が見てもひと目で分かる立体で表示とすることができます。しかも、光でできた表示(像)なので、空間にあっても邪魔にならず安全です。

その仕組みは、光の角度を変える特殊なレンズ(フレネルレンズ)が数万個埋め込まれた透明プレートに、LED(発光ダイオード)の光を通しレンズで屈折させ、プレートの上空に擬似的に光源を作り、その光源を並べることで像を作り、立体感を生み出すというものです。これを使えば、世の中のさまざまなもの(現実)に新たな情報(価値・利便性)を付加することができます。しかも空間投影には、1つのLEDと透明なプレート1枚があれば、どこでも手軽に立体映像を映し出すことができるので、その使い道は無数に広がります。

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20年前、携帯電話の進化を予測して、
より高度な光の制御を実現

今日、ようやく陽の目を見ようとしている空間投影ですが、その技術の種は約20年前に蒔かれていました。今回、空間投影を実用化させた篠原は「オムロンで光の制御技術の研究が始まったのは、実は私が入社する前でした」と語る。地層が1層、2層と重なっていくように篠原の先輩たちが光の技術を積み重ねて、それが篠原に受け継がれ空間投影として実を結んだのです。

また、光を制御する技術の蓄積だけでなく、そこにはオムロンならではの"先見性"がありました。たとえば、光の指向性について開発をはじめた20年前には、すでに携帯電話はやがて情報端末機となり薄型の大きなディスプレイになるという予測に基づき、LEDバックライトの開発で携帯電話の高画質化、薄型化に貢献してきました。
技術の開発だけでなく、世の中の動向を予測し、将来像のなかにその技術がどう役立つか、その技術で市場をどのように変えられるかを考える。 空間投影も、そんなオムロンの"先見性"から生み出されたと言っても過言ではありません。

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1/1000mmの世界と新たな境地への挑戦が生んだ空間投影

「バックライトの光学設計技術の進化は、十分高いレベルに到達している。では、次はどうなるか?これからは二次元ではなく三次元、つまり空間に向かって進化すべきではないかと考えました。それが3年ほど前のことです」と篠原。ここから、空間投影の開発が本格的にはじまりました。空間投影技術の開発で最も困難だったのは、光の粒子をどうすれば思い通りの方向に飛ばせるかを考える設計技術と、1000分の1ミリ単位でプレートに埋め込まれた凹凸を調整する微細加工技術です。その実現のためには、いくつものハードルを乗り越えなければなりませんでした。
「精度の高い光の制御技術を駆使して、よりリアリティのある像を現実空間に映し出したい」。その高い理想と情熱が、困難に立ち向かった原動力となったことは言うまでもありません。

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情報が目の前に浮かんでいることが、やがて街の日常になる

「2020年の東京を空間投影で埋め尽くしたい。街のなかでごく普通に空間投影が使われるのが目標だ」とビジョンを語る篠原。
想像してみてください。たとえば、複雑に通路が交わり、いつも迷っていた巨大なターミナル駅でも、立体の分かりやすいサインが出入口や曲がり角にふわっと浮かんでいれば、迷うことなく目的地にたどり着くことができます。また、ショウウィンドウにディスプレイされた商品の前に関連情報を浮かび上がらせるなど、その未来図は次々と広がっていきます。
街で目にする空間投影が、みなさんの日常をもっと便利にできた時、この技術は特別なものではなくなります。そのときオムロンは、さらにその先の社会のニーズへと、技術を進化させているのです。

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人の知見を機械に組み込む「Sensing & Control + Think」技術。

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