スマートトイレでインドの人たちを幸せにしたい ~オムロンの技術がインドの新しい公衆トイレをサポート~

衣食住や睡眠などの生理的な欲求は、人間の基本的欲求の最たるもの。しかし、これらの欲求を満たすために利便性を追求すると、課題が生じます。例えば、経済発展や技術開発により人々の生活が豊かで便利になる一方、天然資源の消費が加速し、資源枯渇による将来世代への影響が懸念されています。私たちには、森林、土壌、水、大気、生物資源など自然によって形成される自然資本をいかに持続可能なものにしていくか責任があります。

世界で2番目に人口が多いインドでは、水やエネルギーの保全は非常に深刻な課題です。現在でもバケツ一杯の水を汲むのに何キロも徒歩で移動しなければならない農村部も存在するほど、資源の分布が極めて不平等な現状があります。持続可能な社会の実現に向け、現在そして未来を見つめ直し、すぐに対策を講じる必要があります。

 

変化は始まっている

オムロンは、事業を通じて社会的課題を解決することで、よりよい社会をつくるという企業理念の実践に取り組んでいます。インドにあるオムロンの電子部品販売会社では、「不衛生な下水設備からの解放」と「水の再生」を使命に掲げるNGO"スクリティ"(Sukriti)と協業し、インドでの衛生的な環境づくりを進めることで、企業理念の実践を進めています。

スクリティは現在、野心的なプロジェクト"エコミトラ"(「エコな友人」の意)にチャレンジしており、自動清掃・メンテナンス技術 、節水、浄化槽を使用した下水処理、再生可能エネルギーの利用を実現するスマート公衆トイレの設置を目指しています。

 

オムロンによる支援

インドでは、公衆トイレといえば、誰もが、臭い、汚い、水漏れがするといったマイナスのイメージが定着しています。このようなネガティブなイメージの中、スクリティのスマートトイレは、テクノロジーによって多くの課題を解決してきました。例えば、利用者が気軽に利用できるようにするためには、テクノロジーを前面に出さない工夫などです。そこで、必要となる要件を徹底的に精査したオムロンのプロジェクトチームは、温度センシング技術によって、人の存在と動きを感知できる人感センサーの設置を提案。最初の試験では、トイレの利用者が、カメラのように見えるセンサーに不安を感じることが分かり、センサーの性能を下げることなく外観を新しいデザインに変えることで利用者の安心を得ることができました。そして、協働を開始してから数カ月後、プロジェクトチームはスクリティと共にインドの公衆トイレの概念を変えることになるソリューションを開発します。具体的には、以下の機能をもつスマートトイレを開発しました。

  • スマート照明:自動的に照明と換気扇をON/OFF
  • スマート衛生メンテナンス:自動洗浄・床清掃
  • 節水: 使用時間に応じ、最適な洗浄水量を選択
  • 入室管理:使用中かどうかの表示
  • 入室人数のカウント

現在、このソリューションはインド全土で80カ所の公衆トイレに使われています。

310_2.jpg自動的に照明と換気扇をON/OFFするスマート照明

 

感染病の予防にも役立つスマートトイレ

オムロンのプロジェクトリーダーであるシニアエンジニア、パンカジュ・ガルワルは、「スクリティとの運命的な出会いが、改善すべき点の多いインドの公衆トイレには、社会へ貢献するチャンスがあると気づかせてくれました」と、語っています。

310_3.jpgオムロンの人感センサーを設置した公衆スマートトイレ

スクリティのシニアエンベディッドエンジニア、ラヴィ・バット氏は、「オムロンとのコラボレーションは、複数の目標を達成することができ、効果的であった」といいます。

節水・節電効果の他にも、スマートトイレは農村部の住民たちの間に適切な公衆衛生を促進し、コレラや腸チフスなどの感染病の予防にも役立っています。スクリティは「今後もオムロンと協働することで、何億人ものインド人の幸せの源泉となれることを期待しております」と語っています。

オムロンは、これからも、より良い社会の実現に向けて、新しい価値を社会に提供することにチャレンジし続けます。そして、世界中の人々の安心・安全で持続可能な生活づくりに貢献してまいります。

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