未来につながるクリーンエネルギー 太陽光発電のしくみ

日本は太陽光発電が、世界の中でも普及している国だということご存知ですか?
国別の発電量では、中国、アメリカに次ぐ、第3位であり、年間で約6,300万kw(*1)も発電しているんです。
今回は、この太陽光発電のしくみをわかりやすく解説していきます。

*1:参考資料―認定NPO法人環境エネルギー政策研究所「国内の2019年度の自然エネルギーの割合と導入状況」

太陽の光から直流電力を発電するソーラーパネル

太陽光発電と聞いて皆さんが思い浮かべるのは、建物の屋根や広い土地に設置されているソーラーパネルではないでしょうか。このソーラーパネルには「太陽電池」が組み込まれています。「太陽電池」は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するもので、電池という名前がついていますが、乾電池のように電気を貯める機能はありません。その太陽電池を並べて、屋外で使えるように樹脂やガラスなどで表面を保護したものがソーラーパネルです。

ソーラーパネル内部の太陽電池に太陽光が当たると、「光電効果」という現象が起こります。光電効果とは、物質に光を当てた際に、電子が放出されたり電流が流れたりする現象を指します。この現象を利用して、光を電気に変えることができるのです。

現在、多くの太陽電池には、特に「光電効果」が起こりやすいシリコンなどの半導体が使われています。このシリコンを用いた太陽電池は、プラスを帯びやすいシリコン半導体(p型シリコン)とマイナスを帯びやすいシリコン半導体(n型シリコン)の2種類を貼り合わせてあります。太陽光がこのシリコン半導体の境目に当たると、それぞれのシリコン半導体がプラスとマイナスに帯電し、直流の電気を発電するのです。太陽電池が、光を電力に変えることのできる割合(エネルギー変換効率)は、14~20%程度が一般的とされています。また、当たる光の強弱によって発電量が変わるので、ソーラーパネルは、年間を通して日当たりの良い場所に最も効率よく発電できる角度で設置されているのです。

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太陽光電池のしくみ

発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換するパワーコンディショナー

ソーラ―パネルで発電された電気は、家庭内の分電盤に送られますが、「直流電力(*2)」と呼ばれるもので、そのままでは一般家庭で使えません。普段、私たちが家庭で使用している電気は、電力会社から送電されてくる「交流電力(*3)」で、家電製品がそれに合わせて作られているからです。

そのため、直流を交流へと変換する必要がありますが、この役目を担うのが「パワーコンディショナー(パワコン)」と呼ばれる装置です。

また、パワコンは、単に交流に変換した電力を家庭の各フロアや部屋に電気を分ける分電盤へ送るだけではありません。災害による停電が起きても電気が使えるようにしたり、発電した電気に異常があった場合に事故などのトラブルを未然に防ぐ大切な役割も持っているのです。

オムロンは、このパワコンを日本で太陽光発電が一般的となる前の1994年から25年以上、提供し続けてきました。今では多くの住宅用の太陽光発電システムに、オムロンのパワコンが使われています。

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太陽光発電システムの例

*2:直流電力・・・電流・電圧共に変化せず、+とーが常に一定の状態で流れる電気。
*3:交流電力・・・電流・電圧が変化し、+とーの向きを変化させながら流れる電気。

太陽光発電の普及に貢献してきたオムロンの技術

太陽の光で発電できる、こんなに便利な太陽光発電。しかし、その普及にはさまざまな課題がありました。その一つが、太陽光発電システムの設置制限でした。

太陽光発電システムには、停電などがあった時に、送電線と太陽光発電システムを切り離す単独運転防止機能が備わっています。停電している送電線に、太陽光発電システムから送電が続いていると(単独運転)、復旧作業者が感電したり火災が発生する恐れがあります。こうした電気的な事故を防ぐための単独運転防止機能ですが、単独運転検出方式がメーカー毎に異なるため、相互干渉して単独運転する可能性がありました。そのため、日本の電力業界では、太陽光発電システムの設置可能量に制限が設けており、実は町全体の家の中で約1割の家にしか、太陽光発電システムが設置できないという制約があったのです。

オムロンは、この課題を解決するための技術開発に2002年から取り組みました。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業委託を受け、「集中連系太陽光発電システム実証研究(*4)」を実施。群馬県太田市にある「Pal Town 城西の杜」では、住民協力のもと研究を推進し、総数553戸、総発電量2,129kWという世界でも最大規模のソーラータウンを実現しました。

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太陽光発電だけでなく、緑や公園も充実した憩いの街 「Pal Town 城西の杜」

オムロンは実証研究で得られた知見をもとに、多数台連系時の単独運転防止技術「AICOT®(*5)」を、業界で初めて開発。2011年には「AICOT®」を搭載したパワコンを発売開始しました。

「AICOT®」は周波数の変動をもとに0.2秒という高速で単独運転を検出し、停止させることができるため、相互干渉の恐れがなく、設置制限がかかりません。その結果、設置制限の必要はなくなり、町全体に太陽光発電を広げることができるようになったのです。

そして、オムロンは、太陽光発電の更なる普及を進めるために、8年間かけて開発したこの技術の特許を一般公開しました。今では、様々なメーカーがパワコンにその技術を活かしています。

*4:NEDOの委託事業として株式会社関電工が受託。単独運転技術についてはオムロンが再受託し、当技術を開発・提供しています。
*5:AICOT®の詳細はコチラ

ますます期待が高まるクリーンエネルギーの普及

最近では色々なメディアで話題となることが増え、身近なものになってきたSDGs。これは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を取った略称で、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。そのために達成すべき17のゴールを掲げたSDGsは、今や世界の合言葉といってもよいでしょう(*6)

SDGsの7つめのゴールには「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」があります。「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」ことをテーマに、地球温暖化の原因であるとされる二酸化炭素(CO2)や、大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)などを排出しないエネルギーの普及を目指しています。このようなエネルギーの代表的なものとして、太陽光発電や地熱発電、風力発電などが上げられます。また、これらは環境に対してクリーンなエネルギーということで、クリーンエネルギーと呼ばれたりもし、日本を含め各国政府もその普及に力を入れています。

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オムロンは、独自の技術AICOT®よって実現したイノベーションを通じて、太陽光発電の普及に貢献してきました。これからも、先進的な技術によってクリーンエネルギーの普及に貢献していきます。そして、地球に暮らす人々が、誰でも、クリーンエネルギーを使うことができる持続可能な社会の実現を目指していきます。

*6:参考資料ー外務省「SDGsとは?」

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