"ニューノーマルな駅サービス"を実現した駅オートメーション

コロナ禍での「社会的課題」の解決(6)

今年は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、駅の窓口業務においても「人が密にならない」ことが求められ、駅員と利用客の安全を確保するために「非対面」で対応することへのニーズが高まっています。オムロンは1967年に世界初の無人駅システムを実現して以来、駅運営に携わるシステムを提供し、運用サポートを行ってきました。現在は鉄道事業者と連携しながら様々な駅業務のオートメーション化に向けた実証実験を進めています。今回はオムロンが取り組むウィズコロナ時代の「非対面」による"ニューノーマルな駅サービス"の事例をご紹介します。

4か国語を聞き分けて回答する駅案内ロボット

京王電鉄 新宿駅 百貨店口に設置された身長わずか約30cmの小さなロボット。これがオムロンソーシアルソリューションズ(以下OSS)の開発した「駅案内ロボット」です。日本人だけでなく、外国人の対応も可能で、利用客からの乗り換えや料金などの電車に関する情報、トイレの場所などの駅構内情報、駅の周辺情報などに関するさまざまな問い合わせに、音声とディスプレイでの文字や図の表示で回答します。

当初は日本語のみでの案内でしたが、日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語から利用者がタッチパネルで使用言語を選択して、音声で話しかける方式に進化しました。今では自動言語識別機能によって手動で使用言語を選択しなくても、利用者が話しかけるだけで、使用言語を自動で識別して回答するため、利用者は「非対面」かつ「非接触」で問い合わせできるのです。

2019年3月に京王電鉄 井の頭線 下北沢駅で最初に試験運用をスタートし、2019年9月には新宿駅へ「異動」し、ラグビーの世界大会のために訪日する外国人への対応も行いました。現在は 新宿駅で日々利用客の応対をしながら駅の案内に励んでいます。

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京王電鉄 京王線新宿駅における設置イメージ

『真に駅係員の替わりになれるロボット』を目指して

駅案内ロボットを担当したOSS 社会ソリューション事業本部 駅マネジメント事業推進部 大串はこのように話します。

「駅利用客からの、さまざまな問い合わせに、音声とディスプレイでの文字や図の表示で回答することに加えて、対話の中でうなずいたり、体の回転や腕の動きを交えて応対したりと、親しみの持てる自然な対話ができるロボットです。音声対話型AIエンジンを搭載しているので、多くの人と対話を重ねることで学習し、より人と人の対話に近い応対が可能になっています。

実際に利用した外国人の利用者からも高評価をいただいており、またご高齢の方やお子様からはロボットの愛らしいキャラクタデザインが好評で、たくさん声をかけてもらっています。毎日多くの方々に利用されており、新しい駅サービスとして活用されています。」

駅案内ロボットの導入にあたっては、駅特有の騒音環境下で利用者の声だけを拾う必要があるため、様々な試行錯誤がありました。

「ロボットの開発にあたって、企画、開発部門、社外のパートナともに共通の想いを持てたことがチャレンジを乗り越えられたカギだと感じています。駅案内ロボットを作ることがゴールではなく、『真に駅係員の替わりになれるロボット』の実現に想いがあって、それに憧れて全員で夢を追いかけました。その結果、2018年度に駅案内ロボットの開発が実現し、下北沢駅で試験運用がスタート。現在は、京王線 新宿駅などで稼働しています。」

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オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社
駅マネジメント事業推進部 大串智美

スマートフォンから問い合わせに自動で回答する「チャットボット」

駅に直接行くことなく、使用できるサービスも広がっています。

「乗換駅はどこ?」「電車に忘れ物をした」「子供の料金は?」など、駅業務に関する問い合わせを、スマートフォンから簡単に行える「チャットボット」です。このチャットボットは、オムロンがこれまでの知見を活かして開発した「駅業務に特化したAI」を搭載し、利用者がスマートフォンで駅業務について問い合わせした時に自動で回答するサービスで、相模鉄道が提供するアプリ「相鉄線アプリ」で使用されています。

アプリで問い合わせすると駅業務に関する対話アルゴリズムを搭載したチャットボットが、利用客の言葉から必要な要素の過不足を判断し、不足事項がある場合は利用客に確認を行うことで、適切な回答を提供します。また、ディープラーニング技術と自然言語処理を用い、表現の違いによって質問の意味を理解できず回答できないといった、これまでの課題を解決しています。

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チャットボットのイメージ(スマートフォン画面)

ニューノーマル時代の今後の展開

今回ご紹介した「駅案内ロボット」と「チャットボット」は、もともと多様化する駅業務のサービス向上を目指して開発したものですが、駅係員と接することなく、また駅の設備を操作することなく、利用できるニューノーマルに対応した新しい駅サービスとしても注目されています。オムロンでは、この実証実験を通じて得られた技術や知見を駅案内ロボットだけではなくデジタルサイネージや次世代駅務機器への活用も目指しています。駅業務のさらなるオートメーション化を目指したオムロンの挑戦は続いていきます。

人の知見を機械に組み込む「Sensing & Control + Think」技術。

この技術の最新動向をお届けします。

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