糖尿病患者のワンストップ診療を提供するMMC(Metabolic Management Center)を中国で展開

ー最先端医療を身近にする中国初「MMCヘルスコンビニ」1号店を上海の大手薬局内にオープンー

中国では、生活水準の向上に伴い糖尿病患者が急増しており、その数は1.1億人以上と言われています。糖尿病は、肝臓病や神経疾患、視覚障害など様々な合併症を誘発する深刻な病気です。合併症を発症した場合、症状ごとに複数の病院や診療科目を受診しなければならないため、患者の負担は大きく、適切な医療を受けられないという社会的課題がありました。その解決に、医療機関や行政、製薬会社など関係企業に働きかけて取り組んだオムロン メディカル(北京)有限公司(以下、OHC-BJ)の挑戦を紹介します。

ワンストップ診療を実現するMMC設立

中国で糖尿病の合併症患者が診療を受ける際、各診療科ごとに独自のシステムで患者情報が取り扱われています。合併症患者にとって、各診療科を受診する際にこのことが大きな負担となり、適切な治療を適切なタイミングで受けることが出来ないことがありました。

OHC-BJの李 振傑(リ・ジェンジェ)をはじめとするチームは、この状況を社会課題と捉え、患者情報を各診療科間で共有し、専門医療スタッフによる最適な治療をワンストップで実現するMMC(Metabolic Management Center)の設立を解決策として見出しました。

239-02.jpg

オムロン メディカル(北京)の李 振傑

しかし、その実現には、多くの関係者にこれまでの慣習やシステムを変えてもらう必要がありました。そこでOHCは専門研究機関や製薬会社などのパートナーとともに、まず、その重要性を理解してもらうことから始めました。一年で100回もの学会に参加し、MMCが実現する「ワンストップ診療」の必要性を説いて回ったのです。MMCは学会に参加した医師達の間で話題となり、行政、眼科の検査機器会社、製薬会社、医療IT企業などがMMC構想への共感を示し、協力してくれることになります。

そして2016年に、血圧計や動脈硬化の計測機器、目の診断機器、検査キットなど、糖尿病の合併症を診療できる検査機器が設置されたMMCが、初めて病院に導入されました。

MMCは、IoTやビッグデータを活用し、病院内の検査・治療データと血圧や血糖値など家庭での計測データを共有できるシステムを構築。管理プラットフォームを標準化することで中国で均一された医療サービスの提供を実現し、患者の受診機会を増やし、なおかつ受診負荷を軽減することを可能にしました。

その後、MMCは中国全土に一気に拡がっていきました。現在、484か所の病院に導入され、950以上の病院が導入の意向を示しています。

もっと多くの糖尿病患者に身近にMMCの最先端医療を受けてもらいたい

MMCへの共鳴の輪はさらに拡がりを見せました。

2020年5月8日、アクセスしやすく、家庭と医療をシームレスにつなぐ「MMCヘルスコンビニ」1号店が、中国上海の中心地にある大手薬局チェーンの中にオープンしました。MMCヘルスコンビニには、MMCやiHEC*1と同等の最先端設備が整っており、従来は病院でしか出来なかった動脈硬化検査や眼底検査など、最先端診療を町の薬局で手軽に受けることができるようになりました。薬局内では、会員向けサービスとして、MMCやiHECの医療機関とIDや測定データを連携したり、糖尿病患者は病院に行かずとも、診察データを基に処方した薬を受け取れるよう進めています。

また、家庭で計測したヘルスケアデータを病院と共有することでより的確な治療を受けることができる重要性を患者に伝えていく場として、オムロンヘルスケアの血圧計、ネブライザーの展示・体験も行っています。

これらの取り組みにより、町の薬局がハブとなり、患者と病院をリンクさせる役割を担うことで、患者の利便性向上、最先端医療の診療機会を新たに創出することができました。

239-03.jpg

上海の「MMCヘルスコンビニ」1号店

239-04.jpg

MMCヘルスコンビニでの検査の様子

「健康中国2030」政策の後押しもあり、中国国内では高度なインフラが整備され、スマートヘルスケアの発展は目覚ましいものがあります。 

そのような中、私たちはIotやビッグデータを使ったMMCの管理モデルが、今後の生活習慣病の問題解決のモデルになると信じて取り組んでいます。「MMCヘルスコンビニ」は、2020年内に30店舗の出店を予定しています。

この困難な課題に立ち向かう際、李が指針としたのは企業理念でした。世の中の潮流を先読みし、社会的課題を解決する、ソーシャルニーズの創造を使命として、IoTやビッグデータを使ったMMCの管理モデルは、今後の生活習慣病の問題解決のモデルになると信じて諦めずに続けました。そしてそのビジョンを語り、共感してくれる仲間を集め、そしてその仲間からビジョンを拡げてもらうことで解決につなげたのです。

積極的に高血圧治療に関わり、脳梗塞などのイベントが発症する前に介入することで、オムロンヘルスケアの事業ビジョンである「脳・心血管疾患の発症ゼロ」の実現に貢献できると確信しています。今後は、より多くの医療パートナーとの連携を広げるとともに、オムロンヘルスケアが取り組む遠隔診療サービスをけん引するサービスモデルになるよう、チャレンジを続けていきます。

中国の糖尿病患者の健やかな生活に貢献する、オムロンの取り組みに対する共鳴の輪はまだまだ広がり続けます。

*1 iHEC:intelligent Hypertension Excellence Center
intelligent Hypertension Excellence Centerの略称。センターでは、各種健康機器から入手したデータをクラウドのプラットフォームで収集、分析し、その結果をもとに高血圧専門家や医師のアドバイスを受けることができる。

人の知見を機械に組み込む「Sensing & Control + Think」技術。

この技術の最新動向をお届けします。

オムロンと一緒に、社会的課題を技術で解決しませんか?

関連記事