アムステルダムの運河で気泡のバリアがプラスチック廃棄物を捕捉

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廃棄物が北海に到達する前にアムステルダム市内の運河で捕捉しようとする取り組みの一環として、完全に気泡から成る世界初の「ごみバリア」がお目見えしました。

オランダのスタートアップ企業、アムステルダム市、および地域の水道局が発表した「Great Bubble Barrier」は、ごみ(特にプラスチックの小さな破片)をWesterdok運河の側面へ流し、そこで回収する単純な仕組みです。試験結果によると、漂流物の80%以上を方向転換できることが実証されています。

海洋プラスチックの3分の2以上は、川や運河から流れ出てくるものですので、川で捕捉するのがベストでしょう。運河の中に物理的なバリアを置くことはできません。野生生物やレクリエーションのためにオープンな状態を維持する必要があります」と、このテクノロジーの共同発明者であるPhilip Ehrhorn氏は語ります。

このイノベーションにより、海洋プラスチック廃棄物のために高まっている危機に対処できる可能性があります。世界の海には毎年800万トンものプラスチックが捨てられているという試算もあります。これは古いボトル、トレー、容器などで一杯のトラックがごみを毎分捨て続けているのと同じです。

気泡のバリアは、運河の底を対角線上に60mにわたって走っている穴のあいた長い管から出ています。管を通じて送り込まれた圧縮空気が廃棄物を浮上させた後、運河の自然な水流がこれを特定の方向へ流します。これにより廃棄物は、アムステルダムの由緒ある運河地帯の端にあるWesterdokskade側の小さなごみプラットフォームで捕捉されます。

ドイツ人の造船技師および海洋技術者であるEhrhorn氏は、2015年のオーストラリア留学中に見た水処理工場から着想を得ました。「ある段階で水に空気を入れて、まるで大きなジャグジーのようにたくさんの気泡を発生させる工程がありました」と同氏は語ります。

「人々がトイレに流すプラスチックの小さな破片が一隅に集められていて、これが私にとってヒントとなりました。プラスチックを特定の方向に導くことができるのなら、川でも同様の取り組みを意図的に、方向性を絞って行うことができるのではないかと」

これと同じ頃、オランダ出身の3人の優れたアマチュア船乗りで友人でもあるAnne Marieke Eveleens氏、Francis Zoet氏、およびSaskia Studer氏が、ある晩アムステルダムでビールを飲み交わしながら、「気泡のカーテンを作れば、魚やボートを通しながらごみを集めることができるのではないか」というアイデアを思いつきました。やがてドイツとオランダの両チームは、50万ユーロのポストコード宝くじグリーン・チャレンジ賞やその他のを受賞したこともあって、このアイデアの共同開発に取り組むことになりました。

オランダの首都・アムステルダムの水路で初めて実用化されたバリアは、3年間にわたって毎日稼働し続ける予定で、浚渫(しゅんせつ)作業(現在では毎年42,000kg分もの大きなプラスチックごみを回収)をサポートすることが狙いです。気泡バリアからの廃棄物は別途回収された後、プラスチック活動団体のSchone Rivieren(きれいな川)によって分析されます。

アムステルダム市議会でサステナビリティの責任者を務めるMarieke van Doorninck氏は、このプロジェクトが成功例となることを望んでいます。「アムステルダムの運河には大きな魅力があります。しかしペットボトルやビニール袋が水に浮いていては台無しです。気泡バリアを利用すれば、海へ流出するプラスチックの量を減らすことができます。またこれによって私たちのエコシステムを今まで以上に制御し、人、野生生物、および環境にとってのメリットを創出できます」と同氏は話しています。

水が豊かに流れるオランダのような小国では、こうしたイノベーションは歓迎されます。Netherlands Water Partnership(Amsterdam International Water Weekカンファレンスを主催)のマネージングディレクターを務めるBianca Nijhof氏は、次のように述べています。「オランダ人は水と共存していて、水に抗うことはありません。国土の50%は海面よりも低い位置にあり、半分以上では洪水が起きやすい土地です。2018年には深刻な干ばつもありました。この水を起業マインドセットと組み合わせた特別な関係は、私たちのイノベーション精神の表れです。気泡バリアは、全市民にきれいな水を提供するソリューションの1つとなるでしょう」

この記事はThe GuardianのSenay Boztasが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。

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