コロナ禍での「社会的課題」の解決①

スペインのオムロン社員が人工呼吸器開発プロジェクトに参画

2020年6月15日現在、新型コロナウィルス感染症の感染者は世界で780万人を超え、死者数は43万人を超えています。このウィルスに世界中が苦しむ中、自分にできる事はないか、と考える人は多いのではないでしょうか。オムロンにおいても、このような状況下で、社会に貢献するべく、必死の努力を続けている社員が世界中にいます。そうした中から、世界でもとりわけ大きなコロナ禍に見舞われたスペインの社員による、人工呼吸器が不足する国々の社会的課題解決に向けた奮闘について紹介します。

はじまりは、1人のエンジニアの想いから

OMRON EUROPEのエンジニア、ラウル・ニコラスは、自国スペインで感染が急拡大し、多くの人が亡くなっていくのを目の当たりにし、何か自分たちにできることがないかと、日々、考えていました。そんなある日、彼は人工呼吸器の開発を短期間で目指す非営利団体のプロジェクトが進んでいることを知ります。当時のスペインは、病院の集中治療室に空きがなく、人工呼吸器も足りないために、十分な治療を受けられないまま亡くなる人が増え続けていました。そのような状況の中で人工呼吸器をできるだけ早く増産し、病院に提供することは喫緊の課題でした。

プロジェクトで最初に開発された試作機は、とても単純な動作であり、性能も高いものではありませんでした。この試作機を見たラウルは、オムロンのファクトリーオートメーション(FA)の技術を使えば、患者の呼吸量や圧力をリアルタイムに測定し、学習しながら適切な量の酸素を供給することができる、医療用機器としての性能と信頼性を兼ね備えた人工呼吸器が作れると考えました。その一方で、ラウルは、FA機器の開発にしか携わってこなかった自分たちに、医療機器を作れるのだろうか?という不安も抱えていました。しかし、この葛藤はすぐに挑戦への熱意へと変わりました。ラウルが抱えていた悩みを3人の同僚たちに伝えると、みな、是非やろうと賛同し、協力を申し出てくれたのでした。
ここからラウルをはじめ4人のオムロン社員の挑戦が始まりました。

corona-03.jpg左からラウル・ニコラス、ロベルト・ルイス、ホリアン・カリーヨ、マルコス・ララルデ

FA技術で人工呼吸器を開発する

4人は、スペインでの感染が急拡大する中、プロジェクトに参加し、323日より開発拠点となった大学で昼夜を問わず開発に没頭しました。プロジェクトには、医学や機械はもちろん、法律、コンピュータ、デザイン、データ解析、といった様々な分野の専門家たちが参画しました。その中でラウル達が担ったのは、主に、開発・製作にあたっていた大学関係者に対し、FA機器の設計や開発の指導、プログラミングの支援でした。またFA機器そのものや、必要な電子部品の提供も行いました。それぞれの領域で知恵を出し合うことで、人工呼吸器は2週間という短期間で完成しました。その後、各種試験を終え、安全性も確認されたラウルたちの人工呼吸器は、新型コロナウィルス感染症の為に開発された人工呼吸器の中で初めて、スペイン政府の承認を得ることになりました。そして、スペインの病院のみならず、人工呼吸器が不足する他国でも利用できるようにするための準備が着々と整っていったのです。現在、新型コロナウィルスが猛威を振るう南米の各国で試験機の導入が進められており、すでにエクアドルには50台以上が寄贈されました。また、ブラジルでも、オムロン現地法人が南米諸国への供給の検討を進めています。

  

  

ラウルは、このプロジェクトに対する思いを後にこう語っています。「FA機器のエンジニアである自分たちが医療機器の開発にたずさわれるのかという不安はありました。しかしそうした葛藤の中、動き出すことができたのは、『企業は社会に貢献してこそ存在する意義がある』とするオムロンの企業理念があったからです。それがメンバー全員の原動力となりました。現在のような危機的な状況のときこそ、企業は社会のために貢献しなくてはならないと改めて感じます」。

ラウルらの挑戦は、オムロンの社員一人ひとりに、社会に貢献したいという企業理念が根付いていることを裏付けるものでした。そしてこの一人ひとりの取り組みが、共感と共鳴を呼び、国を越えた社会的課題の解決につながっています。オムロンは、これからも企業理念の実践を通じて社会的課題を解決することで、企業としての社会的責任を果たしていきます。

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