VUCA時代の道しるべ、未来のシナリオを共創する

共に未来を考え、つくるSINIC Caféとは

時代はいま「VUCA」と呼ばれ、Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)に充ちている。そのため先を予測するのが極めて難しい。その中で、オムロンでは半世紀も前から、未来を見通したSINIC理論を経営の羅針盤としてきた。その結果、少なくともこれまでのところ、世の中はSINIC理論の予測どおりに進展してきている。では、この先はどうなるのだろうか。参加者が互いに未来を語り合い、お互いに刺激し合う。そんな場がSINIC Caféだ。

未来を描く「SINIC理論」
未来を描く「SINIC理論」

SINIC理論の詳細はコチラから


これからの世の中は一体どうなっていくのか?

「ここ1、2年でSINIC理論に関する問い合わせが急速に増えてきました」と、株式会社ヒューマンルネッサンス研究所(HRI) 代表取締役社長の中間真一は話を切り出した。今年創業30周年を迎えるHRIでは、オムロンの未来予測理論「SINIC理論」を活用して、 社会・技術・科学の未来を描き出し、そして未来社会像からのバックキャスティングにより、オムロンのイノベーション推進本部とも連携しつつ、近未来デザインに基づいたイノベーション創造へとつなげていく。

(HRI) 代表取締役社長 中間真一
(HRI) 代表取締役社長 中間真一

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SINIC理論とは、オムロンが1970年に国際未来学会で発表した未来予測理論である。50年も前に考えられた未来社会像に、いま誰が、なぜ関心を持つのか。
問い合わせをしてくるのは、企業の研究所メンバーやCTO、ときには中央官庁から講演を求められたこともある。あるいはベンチャー企業の若手経営者が、経営判断の指標としてSINIC理論を使っているとの報道もあった。

「VUCAといわれる時代だからこそ、誰もが納得できる未来予測の拠りどころを求めているのでしょう。そんな中でSINIC理論に基づく未来予測は、これまで、そして今の社会を見事に予測していました。だからきっと、この先の社会像を知る手がかりにもなると期待できます。そこで、そもそもSINIC理論とは何なのか、なぜ創業者・立石一真は未来を予測できたのか......。理論の成り立ちやロジックを知りたい、と考える人が増えているのだと思います」

こうした流れの中で、社内外問わず、共に未来を考え、語り合い、つくっていく場としてHRIが立ち上げたのがSINIC Caféである。


社外も巻き込んで、未来を共に考え、共に語り、共につくる

「今よりももっとおもしろい社会、よりよい未来を、自分たちの手で力を合わせてつくりたい。そんな人が集まる場がSINIC Caféです。社内の人間はもちろんですが、社外の方にもお越しいただいています。なぜなら、オムロンだけの場にしてしまうと、一企業の内輪の話となり、事業ドメイン等の制約にとらわれてしまいかねないからです。それを取り払っていくためにも、様々な方に集まっていただき、そこからオープンイノベーションにつながっていくよう公開プログラムとしています。「花とミツバチ」の関係のようなものです。どんどんお越しいただき、社内外問わず、参加者はお互いに刺激し合ってほしい。そして、参加者たちのディスカッションを盛り上げる触媒的な役割として、さまざまな分野で最先端に取り組んでいるビジョナリストを招いて未来についての話もしてもらう。それにより、参加者それぞれが具体的な未来社会を思い描き、自身のこれからの行動、共創へとつなげてもらう。これがSINIC Caféの基本的な考え方です」

SINIC Caféはこれまでに3回開催された。最初に招いたゲストは、守田健太朗氏。大胆な電子政府化を進め、スタートアップ支援やサイバーセキュリティで知られる未来国家エストニアを熟知する、元エストニア日本国大使館専門調査員。『エストニアは、どんだけ未来国家なのか』と題して、世界最先端の電子政府の取り組み内容が紹介された。

一般社団法人Publitechグローバルマネージャー、一般社団法人ユースデモクラシー推進機構アドバイザー 守田健太朗氏一般社団法人Publitechグローバルマネージャー、一般社団法人ユースデモクラシー推進機構アドバイザー 守田健太朗氏

第1回SINIC Caféの詳細はコチラから


「第2回は、カリフォルニア工科大学の下條信輔教授に来ていただきました。テーマは『負の感情~「負」の意味を掘り下げよう』です。ポジティブではなく、あえて負の感情を取り上げ、それは悪なのか、あるいはヒトの感情はコントロールできるのか/すべきなのかなどの問いが突きつけられました。SINIC理論によれば、今は個に合わせた情報と機能が選択できる「最適化社会」の只中であり次の自分らしさの発揮と他者との協調が両立する「自律社会」への移行期です。その進化を促すのは精神生体技術、つまり心の技術です。人間の心には負の感情もあることを自覚すべきで、それを安易にいじくりまわすとおかしなことが起こるぞと教授は警鐘を鳴らした。論点の意外さに刺激を受けたのか、参加者の議論が白熱しました」

カリフォルニア工科大学 生物学部/計算神経系 教授 下條信輔氏
カリフォルニア工科大学 生物学部/計算神経系 教授 下條信輔氏

第2回SINIC Caféの詳細はコチラから


そして第3回のゲストに迎えたのが『未来へのウェルビーイングとテクノロジー』、ゲストは早稲田大学文化構想学部のドミニク・チェン准教授。「ウェルビーイング」とは、人間の心理的充足を測り、支援するための学問領域だ。人間らしさを大切にするために、ヒトはテクノロジーとどのように共存していくべきか。チェン氏は、テクノロジーを活用することによる、心と心の通い合うコミュニケーションが生まれる可能性について自身の取り組みを交えつつ紹介した。まさに自律社会のあり様、豊かな生き方を考えるテーマである。また、チェン氏と立石一真には、世代は全く離れているのに共通点がある。チェン氏が学術の道に入ったのはサイバネティックス※からであり、立石一真がSINIC理論を考える際に参照したのもサイバネティックスである。

※通信工学と制御工学、生理学と機械工学を総合的に扱うことを目的とする学問分野

早稲田大学 文化構想学部 准教授 ドミニク・チェン氏
早稲田大学 文化構想学部 准教授 ドミニク・チェン氏

第3回SINIC Caféの詳細はコチラから


「回を追うごとに、参加者の間での議論が盛り上がるようになってきました。話をしやすいように工夫もしています。4人1組のテーブルセッティングでコーヒーやお菓子も用意し、まさにカフェのような雰囲気で意見を交換してもらいます。その中で受けた刺激を各自が持ち帰り、まわりに広める。狙いどおりの効果が出始めているようです」

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これからのイノベーションへとつなげていくため、未来社会を研究するHRI

HRIのミッションは、簡単にいえば、未来社会のニーズを先回りしてとらえておくための、オムロンにとって未来への「出島」のような研究所だ。
「VUCAなどといわれるように、先の見えない時代だからこそ、何かが大きく変わりそうな気配があるからこそ、未来社会の研究が必要なのです。私自身は、立石一真の哲学にひかれて研究所の立ち上げメンバーとして参加しました。"機械にできることは機械に任せ、人間はより創造的な分野で活動を楽しむべきである"――立石一真のこの言葉は、AIがヒトの仕事を大きく変えつつある今こそ、改めて噛みしめる価値があります」

そんな話をしながら中間は、SINIC理論の立体モデルを見せる。

SINIC理論

「次の自律社会では、「遊・学・働」が渾然一体となっていくと考えています。これらを「分ける」ことが大事だった工業社会から自律社会へのパラダイムシフト、それが最適化社会であり、セカンド・ルネッサンスと言えるものなのです。このモデルを見てもらえればわかるように、自律社会はちょうど1回目のルネッサンス(工業化社会へのパラダイムシフト)の対角線上に来ているでしょう」


未来に向けて、より良い社会をつくっていくために

SINIC Caféは、「遊・学・働」が渾然一体となる場のモデルでもある。メインは学びであるとはいえ、ただ学ぶだけでない。心も体もほぐれるような雰囲気の中で話を聞き、語り合う。だから『Café』なのだ。

「ヨーロッパのカフェ文化のような雰囲気をつくりたい。例えばパリには哲学者が集まり、コーヒーを飲みながら議論を楽しむ文化があるじゃないですか。豊かな未来は、そんな場からつくられると思うのです。自律社会はその名の通り、そこに参加する一人ひとりが自律的に社会をつくりあげていく社会です。一人のカリスマが引っ張っていくような社会では、決してありません」

未来を考えたい人が集まり、お互いに刺激しあい、語り合いながら共に未来をつくりあげていく。
そのために、未来に必ず現れてくる社会のニーズを先駆けてとらえソーシャルニーズの創造へとつなげてく。今よりももっとおもしろい社会、よりよい未来を目指し、オムロンとHRIのイノベーション創造への挑戦はこれからも続いていく。

人の知見を機械に組み込む「Sensing & Control + Think」技術。

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