ハンディキャップも一つの個性

障がい者を含め全ての社員が個性や能力を存分に発揮し、活躍できる企業への挑戦

多様な人財が、企業理念を原点に、志を一つにしてチャレンジすることで、多様性がもたらすイノベーションの創造を可能にし、事業を通じた社会的課題の解決が実現できる。企業理念の価値観の1つに「人間性の尊重」を掲げているオムロンでは、その考えのもと多様な人財の雇用を推進している。障がい者の雇用もその一環として、世に先駆けて積極的に取り組んできた。その歴史は実に45年以上に及ぶ。


始まりは1972年、障がい者に安定した職業を提供し、自立を促すことに取り組む社会福祉法人「太陽の家」と合弁で日本初の福祉工場・オムロン太陽を誕生させた。1985年には、オムロン京都太陽を設立。以来、障がい者が働く喜びと生きがいに満ちあふれた社会をつくるため、事業を通じて、障がい者の就労機会の創出と活躍機会の拡大に積極的に取り組んできた。

多様なメンバーの可能性を信じて。個性を活かしきる環境づくり

オムロングループでは現在、特例子会社であるオムロン太陽、オムロン京都太陽に留まらず、営業や人事、総務、法務、開発などあらゆる部門で障がい者が働いている。オムロンの障がい者雇用は、社会貢献活動の一環ではなく、ビジネスとして利益を上げることを目的としているのが特徴だ。そのために障がい者が、個性や能力を発揮して成果に結びつける環境や仕組みづくりに力を入れている。

オムロンエキスパートリンク株式会社ダイバーシティ推進部チャレンジド推進課の松永浩枝オムロンエキスパートリンク株式会社ダイバーシティ推進部チャレンジド推進課の松永浩枝

「大切にしているのは、障がい者が健常者と変わらない会社の貴重な戦力として、個性や能力を発揮して成果を上げる仕組みや環境を作れているのかという視点です。障がいの程度や必要なサポートは一人ひとり違います。どのようなサポートを本当に必要としているのかを、私たちチャレンジド推進課、上司、障がいのある社員が一緒になって考えることが大切です。そのためには、企業や上司/職場のメンバーと障がいのある社員が『相互理解』を深める必要があります。」
と、オムロングループで障がい者の働く環境づくりを担う松永は語る。


オムロンでは、「相互理解」を深めるために、障がいのある社員と上司が直接話し合う面談を年1回実施している。障がいのある社員は、この場で日々の業務や働く環境に関する困りごと、災害時の安全確保などについて相談したり要望を伝えることができる。この相互理解の機会から環境改善につながった事例は多数ある。

  • 個々に高さを調整できるデスクの充実
  • 大勢が集まる研修では手話通訳者を派遣
  • 日常的な会議での、タブレットを用いた筆談や音声をリアルタイムにテキスト化するソフトウェア「UDトーク」の使用
  • 毎日の出勤に困難が伴う社員は、在宅勤務や勤務時間の変更などの柔軟な対応の実現


また、障がい者への理解を深める取り組みとして、ユニバーサルマナー研修や、心のバリアフリー研修、視覚障がいの体験研修などを定期的に実施している。


「障がいの有無にかかわらず、『お互いを当たり前に支援しあいながら、共に成長し、個性を発揮できる職場づくり』に取り組んでいくということが必要です。互いの可能性を信じて、自分の強みで周りの人をフォローしていく。相互に理解し合い、サポートし合っていくことで、一人ひとりが良い仕事し、会社としてパフォーマンスがあがっていくと信じています。」
と松永は想いを語る。

全ての個性を受容したチーム運営が成果を上げる。~障がいを持つ社員が中核を担うWEB制作チーム~


全ての個性を受容したチーム運営が成果を上げる。
~障がいを持つ社員が中核を担うWEB制作チーム~


松永たちが企業としての環境づくりに取り組んでいる中、オムロンには、オフィス業務で障がいのある社員が中核となって成果を上げている部門がある。自身も下肢に障がいのある山本が率いるWeb制作チームは、身体障がいのある7名が、国内のオムロングループのウェブサイトの企画・制作やシステム開発をサポートしている。これまでオムロンのハンドボール部のウェブサイト、オムロンエキスパートリンク株式会社のホームページなどを手がけてきた。
下肢や上肢の不自由、聴覚障がいなど7名の障がいはさまざまなメンバーが在籍しており、中には毎日出社するのが難しい社員もいる。そうした状況に対し、彼らは会社が整えた環境や制度を活用するだけではなく、自身でも様々に工夫しながらチームの運営に取り組んでいる。


「今では当たり前になっていますが、私たちのチームでは早い段階から在宅勤務などを柔軟に取り入れてきました。ITなどのツールを活用しつつ対応できるようにしています。全体と個々人の計画をしっかり立てて進行管理を徹底することはもちろんですが、急に誰かが出勤できなくなっても対応できるように、Web制作の業務内容をたな卸しした上でアクションレベルまで細分化し、その細分化した業務を必ずペアで行うようにしています。また、個々人が柔軟な働き方しており普段顔を合わせることが少ないチームだからこそ、チームワークを大切にしています。毎週水曜日は全員がオフィスに集まる日と定め、対面でのミーティングを実施し、チーム全体進捗の共有や業務上の悩みをフォローしています。」と山本は語る。


「2018年度からは、新たに数値目標を定めてその達成度や業績を「見える化」する取り組みをスタートさせました。目標を定めたことで、それまでのように来た依頼を受けるだけでなく、自ら他の部署やグループ会社に企画を提案するなど、仕事を取るべく能動的に行動するようになりました。メンバー全員が自らの業務に自信を持ち、今まで以上に前向きに仕事に取り組めるようになりましたね」

オムロンエキスパートリンク株式会社チャレンジド推進課Web制作チーム 山本剛士オムロンエキスパートリンク株式会社チャレンジド推進課Web制作チーム 山本剛士


自信を付けたチームが、「障がい」という自らの個性を活かし、さらに活躍のフィールドを広げていくべく取り組み始めたのが、ウェブサイトのアクセシビリティ※1の向上だ。


「障がい者活躍の場を提供しているオムロングループの情報をより多くの方々に知って欲しいと思い、取り組みを始めました。」と山本。


手探りの状態から始めた取り組みは、一つの成果に到達した。山本たちが手掛けたオムロンエキスパートリンクの会社情報ページが、ウェブアクセシビリティの公的なガイドラインである日本産業規格「JIS X8341-3:2016」適合レベル※2の達成基準レベル「AA」準拠を2019年7月に達成したのだ。
「国内ではまだ少ない『AA』を取得したことは、チームのメンバーにとって大きな自信になりました。障がいのあるわたしたちだからこそできる、"誰もが使いやすい"ホームページをほかにも拡げ、事業への貢献につなげていきたい」
と熱く語った。

202_04b.jpg日本産業規格「JIS X8341-3:2016」適合レベルAAの評価を獲得したオムロンエキスパートリンク株式会社のホームページ

※1 ウェブアクセシビリティ:視覚や聴覚、PCやスマホの操作に
ハンデを持つ人たちが、問題なくWebサイトを使用できること

※2 JIS X 8341-3:2016 高齢者・障害者等配慮設計指針
-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-
第3部:ウェブコンテンツ


新たな個性を受け入れる。精神障がい者雇用拡大への挑戦


オムロンは、障がいのある人の就労機会の創出と活躍機会の拡大に向け、新たな挑戦を始めている。
社会的に雇用が進まない、発達障がい者を含む精神障がい者の雇用だ。


「社会でも障がい者全体の雇用は、2018年に50万人の大台を突破したように、年々増加しています。しかし、全国で約200万人いるとされる精神障がい者(発達障がい者を含む)※3の内、民間企業に雇用されている割合はわずか3.5%に留まっています。精神障がい者の雇用拡大に取り組むことは、それ自体が、オムロンが目指す社会的課題の解決にもつながると考えています。それと同時に、今後、日本全体の労働人口が減る中で、多様な人財が個性を活かし活躍できる会社になることは、社会の力にもなっていく。そんな思いで精神障がい者の雇用を進めています。」
そう語るのは、オムロンで精神障がい者の雇用を推進する役割を担っている藤井だ。

※3 25歳以上 65歳未満

202_05.jpgオムロンエキスパートリンク株式会社ダイバーシティ推進部チャレンジド推進課の藤井謙昌


精神障がい者の雇用については身体障がい者の場合とは異なり、オムロンに知見が蓄積されていなかった。そこでまず、国の認可を受けて障がい者の就労支援に取り組む機関と連携し、人財の紹介やアドバイスを受けながら受け入れ態勢を整えていった。また、配属先として、事務職に加え、ソフトウェアエンジニア職も設けた。発達障がいのある場合、集中できる環境下でのパターン化された業務であれば、健常者以上の成果を出す可能性があるからだ。


また採用の前には1ヵ月の実習期間を設け、雇用者と障がい者が互いを見極める機会を経たり、採用後の配属先でも、障がい特性に応じて、あいまいな指示を出さない、業務の進め方をサポートするジョブコーチをつけるなどいくつかの配慮が必要だった。


最初は、どう接したらいいのか戸惑う社員も少なくなかったという。そんな社員に藤井は「配慮は必要だが遠慮はするな」と言い聞かせた。「わからなければ本人に聞けばいい。相手を理解してこそ必要な配慮ができるのですから」。
それから次第に互いを受け入れていった。


今後も精神障がいのある社員が安定して働き続けるためには、社外の就労支援機関との連携だけでなく、主治医や家族も一体となってサポートしていくと同時に、何より大切なのが一緒に働く職場の仲間の理解が必要であると藤井は考えている。


「本人の障がいに対する『自己理解』と、責任をもって職務を全うする『意欲』も重要です。例えば精神障がいの方には過集中の傾向があります。そうした自分の障がい特性を認識し、定期的に休憩をとったり、周囲にサポートを求めるなどセルフコントロールし、与えられたタスクを達成する責務を果たす姿勢が不可欠です。『職場での配慮』と『本人の自己理解』そして『意欲』があれば、障がい者の活躍に職域や業務の境界はないと思っています。」


障がいのある人の就労機会の創出と活躍機会の拡大に向けたオムロンの新たな挑戦は始まったばかりだ。

人の知見を機械に組み込む「Sensing & Control + Think」技術。

この技術の最新動向をお届けします。

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