"FROM THE FACTORY OF THE WORLD" ~草津・綾部(後編)~

モノづくり革新に貢献する多彩なアプリケーション

世界中の人々の豊かさを実現するため、「多品種少量生産でも少品種大量生産並みの高品質なモノづくり」の実現に挑戦し続けるオムロン草津工場(滋賀県)と綾部工場(京都府)を紹介する"FROM THE FACTORY OF THE WORLD ~草津・綾部~"。
前編では、両工場のトップである小泉と辨官(べんかん)が、グローバルにおける両工場の位置付けと特長について語った。(前編はこちらから)
後編では、製造現場の課題と真摯に向き合いながらモノづくり現場の革新にチャレンジし続ける草津・綾部工場の生産現場に迫った。


現場のデータを見える化し付加価値を生み出す

多品種少量生産の現場では新商品導入のたびに生産ラインの変更が頻繁に起こるが、オムロンのAI搭載モバイルロボットは頻繁なライン変更にも対応可能のため、オムロン工場内でも用途が拡大している。草津工場でもモバイルロボットの導入が進んでいるが、作業者がいかに付加価値の高い作業を行うか、またスキルを発揮できる作業者をいかに効率よく配置し作業の平準化を図るか、という課題が挙がっていた。

そこで、製造現場の様々なデータを可視化するツール「i-BELT Viewer」をPLC等の組み立て・検査工程に導入し、下記三点を可視化した。

  1. 組み立てライン(40ライン)の稼働状況、検査ラインへの搬送を待っている完成品の滞留状況
  2. 検査ライン(6ライン)の進捗状況、検査待ち完成品の滞留状況
  3. 自動搬送モバイルロボット(4台)の稼働状況

i-BELT Viewerにより可視化された情報を元に、どの組み立てラインの完成品をどの検査ラインにどのモバイルロボットを使って搬送するかをタイムリーに指示するシステムを構築。また、熟練の作業者が6つの検査ラインの稼働状況に応じて移動することで、検査ライン全体の稼働率も向上した。これらの取り組みにより、全体のリードタイムを10%削減することに成功した。
「i-BELT Viewer」の詳細はこちらから

オムロン モバイルロボット活用事例


製造工程の見える化から、データ活用による品質革新へ

電子部品を基板に実装する草津工場の「SMT生産ライン」には、20mにもおよぶラインの中に様々な装置が配置されている。工程進捗の可視化はシステムの導入により実現していたが、不良の発生原因や生産性の課題特定に熟練スタッフの経験やノウハウが必要となる場合が多かった。
そこで、誰でも現場課題を把握し、全員がライン改善に取り組むことができるようシステムの進化にチャレンジした。

商品事業部と連携し、生産性向上支援ソフト「Q-up Auto」を活用して基板に半田を印刷する「印刷機」、電子部品を実装する「マウンター」と各工程の「検査機」からのデータを収集し、見える化と自動分析を行うことで不具合の予兆を検知、機器にフィードバックを行うシステムを開発。不良品率をPPM(100万分の1)からPPB(1億分の1)のオーダーにまで下げることに成功した。
「Q-up Auto」の詳細はこちらから

200_01.jpg「Q-up Auto」概要

「今までは不良が起こったあと、その不良から原因を調べましょうというものですが、このQ-up Autoは検査機自体が細かい変化を捉えることができます。それを続けることで、不良が発生する前に未然に防止活動が行えるようにできないか。これが開発のスタート地点です。」(検査システム事業部 岸本)

「たとえば、自動車の自動運転がメディアを賑わせていますが、それを実現させるには必ず電子回路基板が必要。自動運転ということは、速度や障害物のセンシングなどを、この電子回路基板がすべて行うわけです。そこに不良があったら最悪の場合、人命に関わることになります。だからこそ、確実な良品ができるプロセスを私たちが作っていかなければいけない、と考えています。」(草津工場実装課 水島)

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Q-up Autoの導入により実装の位置ずれ不良を未然防止し、更に改善のための打ち手も見える化した


品質確保の「安心」を見える化する

綾部工場で製造されているスマートセンサーは、高精度・高速に安定測定できるセンサーである。このような信頼性の高い製品をお客様に提供すべく、生産ラインの各工程(組立、調整、検査)の中で、高い品質や精度を作り込んでいる。 一方で、この高品質/高精度は、生産ラインの作業者による 実に825回/日にも及ぶ、緊張を伴う判断業務によって支えられていた。

綾部工場ではこれらの課題を解決するため、製品本体と搭載するキーパーツに二次元コードを付与するシリアル管理システム(二次元コードを元にした個体管理)を導入した。これによって生産ラインの各工程では、二次元コードを通じて、モノと情報を自動的に照合できるようになり、さらに各工程データと紐づけることで、完成品はすべて正しい作業が実施されていることを100%保証できるようになった。 さらに、生産ラインの中で、作業飛ばし、作業ミス、基準値エラーなどを、作業者に事前にアラートする仕組みも確立したことで、不具合の市場流出防止や止まらない生産ラインを実現することができた。
これらの取り組みは、品質や生産性の改善効果だけでなく、作業者の精神的、肉体的な負担であった判断業務をゼロにできたことで、作業者が安心して働ける現場づくりにもつながっている。

「正しく検査された製品をお客様に安心して使っていただくためだけでなく、作業者が自分の実施した作業が正しいと確認できる「安心して働く現場」を実現することができました。目には見えない安心を見える化できたことがこの取り組みの一番のポイントだと考えています。私たちの製品に関わる全ての人の安心・安全を保証するモノづくりを実現するためにこれからも活動を広げていきます。」
(綾部工場品質管理課 山下、生産技術課 藤井)

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綾部工場が導入したシリアル管理システム

オムロンの工場はただ製品を作るだけの工場ではない。自らが最適なモノづくり現場を実現するために、現場が中心となり、自社製品を中心としたアプリケーションを率先して導入している。そしてこれらのアプリケーションをお客様へ公開・提案し、製造業のお客様のモノづくり革新に貢献し続けていく。これこそがオムロンの工場の特長である。

人の知見を機械に組み込む「Sensing & Control + Think」技術。

この技術の最新動向をお届けします。

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