ロシアのよりよい社会を実現するための偽造品対策

トレーサビリティシステム構築によるQuality of Lifeの向上

ロシアでは、偽造品の流通が大きな社会課題となっている。

ロシア政府によると、2016年には偽造アルコールが国内市場の30%を占め、約58,000人がアルコール中毒で死亡したと報告されている。偽造アルコールや偽造薬品は消費者に健康被害などの影響を及ぼすリスクがあるため、2016年12月にロシア政府は偽造品の流通に対する規制を発表するに至った。

偽造品に対する有効な対策は、信頼できる製造情報を消費者が入手できるように製品のトレーサビリティ*を実現することだ。消費者は製造元や製品の品質といった情報を知り、正しい製品を自ら選択することで偽造品のリスクを減らすことができる。しかし、ロシアでは過去にこのようなシステムを全国規模で導入したことは一度もなかった。

オムロンロシアのプロジェクトチームは、ロシアの消費者の安心・安全な生活を守るため、過去に前例のないトレーサビリティシステムの構築に挑戦した。

*トレーサビリティ...「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」を明らかにし、原材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にすること。製品に付属している二次元コードやバーコードに情報を記憶させ、コードリーダーで読み取ることで情報を入手する。

プロジェクトを推進するための潤滑油になる

「まず技術的課題の前に、トレーサビリティシステム導入の必要性をお客様に理解してもらうこと、そしてその価値とプロジェクトの可能性に共感してもらうことが必要でした。また、ロシアでは前例がない技術であったため、全てをゼロからスタートしなければなりませんでした。製造者に要求される高いレベルの水準を満たすまで、フィードバックと改善を繰り返す必要がありました。」オムロンロシアのフィールドセールスエンジニアであるユージーン・クロルは、プロジェクトへの参画当時を振り返った。

199_01.jpg

オムロンロシア フィールドセールスエンジニア ユージーン・クロル

食品や薬品の物流には、消費者だけでなく製造者、中間流通業者、販売店と多くの関係者が存在する。しかもそれぞれの視点が異なるため、近視眼的なアプローチではお互いの利益が相反してしまうこともある。

オムロンロシアのプロダクトマネージャであるアレクザンダー・ロズネフは、これらの関係者の説得に成功した鍵は粘り強いコミュニケーションであったと続けた。「私たちのチームは、製造から物流そして消費者に商品が渡るまでのサプライチェーン全体を俯瞰して見る必要がありました。関係者の立場はそれぞれ異なるため、プロジェクトの利害は当事者によって変わります。異なる当事者間同士で密なコミュニケーションを展開し、またどの視点からも実用的で効果的かつ効率的な解決策を模索しました。オムロンロシアは、プロジェクトのコーディネーターとして潤滑油の立場で議論に参加することが出来たと思っています。」

199_02.jpg

オムロンロシア プロダクトマネージャ アレクザンダー・ロズネフ

ロシアの消費者に変革を起こすトレーサビリティシステム

ロシア政府がトレーサビリティシステムの導入を発表し、最初に導入を表明したのはアルコール飲料メーカーだった。システムの導入は当初は比較的容易かつ短期間で実現できると想定されていたが、現実はその予想と反していた。アルコール飲料は1時間に24,000本もの量が生産されている。飲料ボトル一本一本につけられたコードの高速かつ信頼性の高い読み取りを実現しようとすると、コード読み取りという一見単純な作業であっても、コード読み取り機器には高いレベルのスピードと読み取り精度が要求される。さらに、これらの飲料ボトルは常に一定間隔で整列されておらず、コードの印刷サイズや形状も一定ではない。これらのコードの読み取りは従来のシステムでは対応が難しく、 新しい解決策が必要であった。

199_03.jpg

オムロンロシアのプロジェクトチームはこれらの問題を解決するために、今まで使用したことのないあるコードを使用することを決めた。PDF417と呼ばれるこの二次元コードは、航空業界では一般に航空券に使用されているものだが、通常は高速タスクには使用されない。プロジェクトチームはPDF417の高速読み取り実現に向けて、同じ二次元コードを使った在庫管理システムの成功事例があるオムロンイタリアのエンジニアや二次元コードリーダーの開発者と密に連携し、PDF417の高速タスク処理と高精度処理を同時に実現した。

このシステムの特長を、オムロンロシアのフィールドアプリケーションエンジニア、パヴェル・シシラは次のように述べた。「このシステムは、スマートフォンを所有している人であれば誰でも簡単に利用することができます。スマートフォンで商品のコードをスキャンし、万が一製品に問題があることに気付いた場合は当局に通知することができます。偽造品かどうかを識別するだけではなく、偽造品疑惑のアラートを送ることによって偽造品の削減に貢献できるのです。」

「ロシアの人の多くは、まだこの偽造品問題に関して正しい知識や認識を持っていません。しかし、今後この分野の技術が進歩すれば、いずれはロシア中の消費者がスマートフォンやタブレットを使ってトレーサビリティシステムを利用するようになるでしょう。またその用途も偽造品の特定だけではなく、環境問題への配慮やリサイクルの基準などの確認にも利用可能です。」オムロンロシアのアカウントマネージャーであるアレクセイ・ブネエフは、このアプリケーションの意義について熱く語った。

199_04.jpg

オムロンロシア アカウントマネージャー アレクセイ・ブネエフ

私たちの仕事はよりよい社会の実現につながっている

ブネエフを常に鼓舞し突き動かしてきたのは、オムロンの企業理念である「人間性の尊重」だった。

「私たちの仕事の直接のお客様は製造者です。しかしその製造者の先に、消費者がいることを忘れてはなりません。すべての消費者は自分が購入する商品に関して正しい情報を知り、活用する権利を持っています。社会の一人ひとりのよりよい生活に直接影響があるこのトレーサビリティシステムの構築は、その社会の一人ひとりを尊重することに他なりません。」

ブネエフにとって、オムロンは人々にとってよりよい社会を実現するために挑戦し続ける場なのかもしれない。

オムロンロシア トレーサビリティ向上への取り組み

人の知見を機械に組み込む「Sensing & Control + Think」技術。

この技術の最新動向をお届けします。

オムロンと一緒に、ものづくり/ヘルスケア/モビリティ/エネルギーマネジメントの

社会的課題を技術で解決しませんか?

関連記事