"FROM THE FACTORY OF THE WORLD" ~ 草津・綾部(前編)~

製品不良ゼロ化を目指す、メイドインジャパンの技術

消費者の趣味趣向の多様化が進む現代において、製造業では個人の嗜好に合わせた細やかな商品提供が重要となっている。顧客のニーズに合わせて多種多様な商品のバリエーションを用意する必要があり、多くの製品・部品を少量ずつ生産していく多品種少量生産の流れが加速している。

年間の生産量が数万個から数個までの20万種以上の商品を生産しているオムロンの制御機器事業は、このような多品種少量生産の中でも顧客に最適な品質を届けるために、さまざまな取り組みを行っている。
一日に何度も段取り替えを行う多品種少量生産において、段取り替えの効率化を含む生産ラインの稼働率向上や多数の製品仕様を間違いなく高品質で作り続けることが工場経営における課題となっているが、オムロンの工場ではこれらの課題解決にチャレンジし多品種少量生産でも少品種大量生産並みの高品質なモノづくりの実現を目指している。

オートメーションによるモノづくりの革新を通じて、世界中の人々の豊かさの実現に貢献するため製品の不良ゼロ化を追求するのが、オムロンの制御機器事業の中で中核工場に位置づけられる草津工場(滋賀県)と綾部工場(京都府)だ。両工場のトップである草津工場長の小泉と綾部工場長の辨官(べんかん)が、グローバルにおける両工場の位置付けと特長について語った。

198_01.jpgオムロンの中核工場である草津工場(上)と綾部工場(下)

各拠点の特性を活かした最適なモノづくり体制

製造業のグローバル展開(進出)において、進出する地域によって人件費や物流、インフラ、サプライヤー網などが全く異なる。更にこれらは各国の成長や世界情勢によって常に変化しており、モノづくりは変化への迅速な対応力も必要になってきている。

「工場の生産体制において一般に『マザー』と『サテライト』というワードがありますが、これは主従関係を作るものです。一方でオムロンの工場は歴史や顧客事情、働く人々が異なる環境の中で各々独自の進化を遂げており、それぞれの拠点や工場の強みを活かし活用し合うことを実践しています。」(小泉)

「例えば、現在、ファイバセンサの主力機種は綾部工場のみで生産していますが、今後は、グローバル拠点ネットワークの強みを生かし並行生産を行いQCDのバランスの良いモノづくりにチャレンジしていきます。それぞれの拠点のみでの判断ではなく、グローバルでのROI(Return On Investment、投資利益率)を考慮して投資決裁を行い、全生産拠点トータルで資産回転率の高いモノづくりを追求していきます。」(辨官)

198_02.jpg綾部工場長の辨官(左)と草津工場長の小泉(右)

オムロンは、草津工場と綾部工場に上海工場とオランダ工場を加えた4工場を制御機器事業の中核工場とし、工場のトップ同士がディスカッションや課題を共有して解決に導く取り組みを進めている。基板実装系は草津工場が得意とし、生産工程内での製品特性の作りこみがキーとなるセンサーの生産技術や多くのユニットや部品の最適な擦り合わせが必要な装置系の組み立て技術は綾部工場が蓄積を進めている。中国市場を擁する上海工場は特に安く作る技術、オランダは欧米の先進技術へのスピーディーなキャッチアップを可能とする。

このようなモノづくり技術の役割分担がグローバルでは必要であり、それぞれの強みの実装を加速させ、それらを頻繁に各工場が情報共有し連携することで、最適なモノづくり体制を確立している。

メイドインジャパンの強みを磨き上げる

それではグローバルにおける日本の工場の役割はどこにあるのか。

世界の各拠点が様々な強みを発揮する中、日本は生産技術力と品質管理を強化し続けるべきだと両工場長は言う。

さらに草津工場と綾部工場においても、製造する製品の特性から強みが異なる。

草津工場はプロセスデータと検査データから不良原因を分析、継続的なデータの蓄積により分析精度を上げていくことではんだ付けの不良率10億分の1(ppb)クラスを目指している。一方綾部工場は生産工程内で製品の特性や品質を作り込む技術の蓄積があり、例えばナノレベルで光学モジュールの特性を調整する自動組み立て技術や、非常に厳しい環境下の使用でも耐水性や耐油性を担保するセンサーケースの封止技術などを培ってきた。

「『匠の技』というのは、日本に伝統的にある概念でどこか精神的なものです。モノづくり=生産に携わる人達が、誇りをもって生産という仕事に真摯に取り組んできた結晶だと思います。工場経営としての判断基準は合理性だけの判断ではなく、100万個に1個でも返品されたものがあれば、その製造不具合について、部門をまたがって原因・再発防止を徹底議論する。このようなQCDに徹底的にこだわる姿勢および行動が、信頼のある製品を世に送り出し、モノづくり技術人財を生み出す。これが、メイドインジャパンの良さではないでしょうか。逆に、海外企業からは、先端技術をいち早く取り入れて生産に移すフットワーク、行動力と意思決定のスピード感を、我々は日々学んでいます。」(辨官)

「はんだ付けの検査・確認作業、修正作業といった工程は、品質が良ければそもそも必要のない工程です。ましてこれらの工程を担当する高度技能者は不足しています。だからこそ、モノづくり現場のオートメーションの革新、匠の技の自動化が必須です。また、これからは究極の"個づくり"の実現や品質レベルの格段の向上を目指し、多品種少量生産においても製品や部品の個体管理を行い、生産現場のデータを活用して生産性・品質を革新し続ける仕組みの構築に向けて、しっかりトレースしなければなりません。やはり究極の品質目標は不良ゼロ化です。」(小泉)

グローバル拠点の各工場がそれぞれ特長を持つ中で、草津工場と綾部工場はメイドインジャパンの強みをさらに磨き上げ「多品種少量生産でも少品種大量生産並みの高品質なモノづくり」の実現に日々挑戦し続けている。

後編では、これらのモノづくりを支える草津、綾部両工場の具体的な取り組み事例を紹介する。

人の知見を機械に組み込む「Sensing & Control + Think」技術。

この技術の最新動向をお届けします。

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