マイノリティの抱える悩みや問題に、当事者と企業が相互に寄り添い問題解決を目指す

~誰もがイキイキと働ける環境づくりを通して、より良い未来を考える~

2017年3月、オムロン京都本社ビル啓真館にて、オムロンはLGBT等性的マイノリティの理解と支援に取り組むNPO法人「虹色ダイバーシティ」と共同で『LGBTフレンドリーな職場づくりのための意見交流会』を開催。
京セラやワコールなど8社の人事・採用担当者と関西圏12大学からLGBTサークルなどに所属する学生が集まり、働きやすい職場について意見を交換しました。

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LGBTを取り巻く日本の現状とは?

現在、職場におけるLGBT等(性的マイノリティ)当事者は8%※とも言われ、日本の多くの企業でもダイバーシティ推進の一環として、LGBTの理解を深める研修などを開始し、働きやすい職場づくりへの第一歩を踏み出しました。
その一方で、LGBTに関連するトラブルも急増してきている、と虹色ダイバーシティ代表の村木真紀氏。「日本におけるLGBTの取り組みはまだ始まったばかりで、LGBTに肯定的な状況にはなかなか出会えません。理解者が得られないことでメンタルヘルスに陥ったり、男女で分けられる機会の多い教育現場ではドロップアウトしてしまう人がいます。また、職場環境に対する不安から就職に結びつかず、貧困のハイリスク層になるなど、さまざまな問題に結びついています」。

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虹色ダイバーシティが行った独自のアンケート調査では、LGBの44%、Tでは70%の方が、就職活動で困難を感じるという結果が出ています。今回の意見交流会でも、参加したLGBT当事者の学生とアライ(支援者)の学生から、たくさんの不安や不満の声が挙がりました。

"認識のギャップ"に課題解決のヒントが

「リクルートスーツや制服は男性らしさ、女性らしさを求められていて、着るのが辛い・・・」
「エントリーシートを書くとき、性別欄でいつも手が止まってしまう・・・」
「自分らしく働くためにはカミングアウトをしたいと思う、でも、その後の周囲の反応が心配・・・」

就職活動に対する学生たちの不安の声があがる中で、浮き彫りになったのは、学生と企業の認識のギャップでした。例えば、企業担当者たちは一様に、「面接はその人の内面を見るのであって、服装は関係ない」と言う。そして、実際に働く職場においても、一部の職種を除き服装は自由という企業が多数でした。
学生たちからは、「大学のキャリアセンターでは、就職活動ではこういう服装、こういうメイク、こういう言葉使いで、といった指導があります。でも、企業の方は "自分らしさを出して良い"と言う。ここにギャップがありますね。」という意見がでました。
このギャップが埋まればLGBT学生の就活は変わるかもしれない。問題解決の道筋ひとつとして、企業側にはLGBTの取り組みに関する情報発信が求められています。

男性・女性で仕事の役割が分かれている事や、トイレなど職場環境に対する不安の声も。
性別による役割の違いは実際の職場ではほとんどなくなりつつあるものの、トイレなどの設備面においては対応が進んでいません。「仮に男性用女性用とは別に性別関係なく使えるトイレが設置されたとしても、そこを使っていることで変な目でみられるんじゃないかと不安になる」。
設備面はもちろん、周囲の理解がなくては当事者たちの不安を解消することはできません。社員に自分らしく働いてもらうためには、例えば、カミングアウトをする大きな覚悟を当事者にゆだねず、言いやすい環境、言っても大丈夫なんだと思える環境をつくるなど、企業はソフトとハードの両面で対応が必要だということを改めて認識しました。
就職活動や入社後の生活に、依然として多くの不安を抱えているLGBTの学生たちですが、「自分は普通の企業で働けないと思っていたけど、今日来て安心した」という嬉しい声もあがりました。

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数%の問題に寄り添うことが大切

職場におけるLGBT等(性的マイノリティ)当事者は8%※ 、その数値だけを見てマイノリティと捉えられてしまいますが、ジェンダーの問題はLGBTに限らず誰しもに起こりうる身近な問題です。
村木氏は、「LGBTという数%の方々が直面している問題を通して、会社組織全体を見直すより良い契機になるのではないでしょうか」と言われました。続けて、「グローバル化が進み、ビジネスを取り巻く環境も変化していく中、LGBTへの無対策は大きなリスクである」とも。企業の人事担当者には浸透していることでも、まだまだ現場レベルには届いていない、制度や設備の整備はもちろんのこと、実際の現場が変わっていかなければと、改めて課題提起もいただきました。

LGBTの当事者である学生とそのアライ(支援者)たちと、企業の人事・採用担当者たちが対話するという今回の取り組みを通じ、新たにわかったこと、そして改めて感じたこと、相互に理解が進んだことは間違いありません。

個性やライフスタイル、価値観・・・さまざまな局面で多様化が進む現代社会。LGBTの問題は"わずか数%"の特殊な問題ではありません。多様な個性や価値観を認め、受け入れることは、幅広く優秀な人材の確保を実現し、事業の発展につながるだけでなく、時代が求めるモノやサービスなど付加価値を生み出すうえで不可欠な要素となっていきます。

オムロンでは「国籍・宗教・婚姻の有無・性別・性的指向・障がいの有無などに関わらず、個性や能力を存分に発揮し活躍できる企業になる」ことを目指し、LGBTへの理解を深めるセミナー等の開催や人権研修の実施、社内相談窓口の設置、ジェンダーに関わらず利用できるトイレの設置など、ダイバーシティ推進の一環としてさまざまな取り組みを始めています。
しかし、それらはまだスタートしたばかり。今回の意見交流会で感じたこと、気づいたことを踏まえつつ、より一層、LGBT当事者に寄り添った取り組みへと発展させていきたいと考えます。

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多様性が進む中から生み出す価値

オムロンでは、LGBTへの取り組みは組織としてのより良い環境につながるだけでなく、ビジネスにおいても未来を切り拓く大きなヒントになると考えています。LGBTの問題は社内だけではなく、生活の場や私たちの事業を取り巻くさまざまな環境に目を転じれば、その数はさらに拡大していくと考えられるからです。
ますます多様性が進む現代社会。LGBTを対象とした商品やサービスは社会的なニーズに発展し、私たちの事業においても極めて重要なテーマのひとつになっていきます。
LGBTと向き合い考えることは、社員一人ひとりの視野を広げ、新たなビジネス創出の鍵にもなるはずです。
本当に必要とされる新たな価値を生み出すために。
オムロンはLGBTの取り組みを推進していくことを通じて、誰もがそれぞれの個性を発揮し、いきいきと働ける環境をつくっていくことはもちろん、新たな価値を生み出す力につなげていきます。

※2016年 日本労働組合総連合会調べ

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